本屋店員が本の薦めブログ

みんな本読んでる?ここでは本屋店員である僕が読んだことのある本、店員仲間から聞いた本を紹介するよー#海で読書中

4冊目 「翼よ、北に」 アン・モロー・リンドバーグ

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・本書との出会い

私がこの本と出会ったきっかけは、山口 周氏の「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」を読んでいる時だ。山口氏の著作はこの私でもスラスラと気持ちよく読める数少ないビジネス書の一つだ。

 

その本の「『巨大な自己実現市場の登場』は日本にとっての好機」という章の中で、このアン・モロー・リンドバーグの最初の著作である「翼よ、北に」が紹介されていた。

 

・アン・モロー・リンドバーグから見た日本

アンはこの本の中でこう語っています。

すべての日本人には芸術家の素質がある。そのような芸術的なタッチはあらゆるところに見られる。しごくあっさりした着物のうちにも、毛筆の書き流す文字のうちにも見られる。雨の通りに花ひらく、青や赤の番傘や蛇の目傘のうちにも、普段使いの食器のうちにも見られる。わたしは、日常生活のうちの紙と紐すらも、日本特有のタッチによって、かりそめならぬものに変えられているのだと感じるようになった。

 

この言葉を目にして頭によぎったのがお寺や神社にあるである。

 

日本のお寺や神社からは昔の日本人が絵や建物などの人工物だけでなく、石や水など身の回りにある自然に対しても「美」を感じ取っていたことがわかる。

 

例えば、「千と千尋の神隠し」に出てくる白の正体も川に住む神竜だということからもわかる。また、京都 「龍安寺の石庭」も昔の日本人が石や苔に美を感じ取って作られたものではないか。

 

・日本の文化

この本を読んで以前から興味のあった「日本文化」のことをさらに知りたいと思うようになった。

 

私自身、保育園時代に茶道教室に通っていたことがあった。保育園の離れには保育園にしては立派な仏像を静置している仏間があり、その横に個室があった。その個室は本格的な茶室になっており、放課後、茶道を習っている園児が集まった。

 

自分たちでお茶を一から淹れていたのだが、当時は、お茶と一緒に出される和菓子が美味しくてそれを目当てに通っていた。

 

しかし、今思い返してみると、先生から厳しく言われたお茶を飲むときの動作や和菓子を食べる黒文字の出し方が日本の文化を象徴しているのではないか。

 

人間の動作や自然。身の回りにある何気ないものに「美」を見出すのが日本文化の真骨頂なのではないか。

 

この本は日本人の私に日本文化のあるべき姿を教えてくれたかもしれない。

 

 

 

 

3冊目 「砂と人類」 ヴィンス・バイザー

           「砂と人類」 ヴィンス・バイザー

・私たちと砂の関係

 

『誰もそれなしでは生きられないものである。』

 

この一文から始まる本書は、私たちの生活がいかに「砂」という物質に頼り切っているのかを教えてくれる。

 

窓の外を見て欲しい。

 

外を見たときに視界に入ってくる横の家やビル、はたまた家の前の車が走る道路までもが「砂」という物質で出来ている。

 

次は家の中のモノを見て欲しい。

 

このブログを見ている人であれば全ての人が持っているであろうスマートフォンタブレット、パソコンにとって必要不可欠なシリコンチップも全て、海に行った時に靴に入ってきて不快に感じるあの「砂」からできているのだ。

 

(ちなみにシリコンチップは石英という物質が基であり、和歌山県にある白良浜にあるあの綺麗な「砂」も石英Sio2である)

 

つまり、私たちの生活と「砂」は切っても切れない関係ということである。

 

 

・砂の採掘

私たちが「砂」から作られたモノを利用する限り、必ずその「砂」を採掘してくる必要がある。

 

今、世界中でその「砂」の採掘をめぐって様々な事件が来ている。

 

例えば、2016年にインドで起きた橋の崩壊で26名が亡くなり、カンボジアからシエラレオネ(本書で初めて名前を知りました)という国では、「砂」による採掘で環境被害がひどくなり漁師たちが生計を立てることができなくなっている。

 

また、アメリカの海岸では「砂」が採掘されすぎて、海岸が姿を消しつつあるという衝撃的な出来事についても述べられている。

 

・これからの「砂」

「砂」は私たちの生活そのものである。「砂」という物質が存在してくれてからこそ、私たちは外界から隔絶された暖かい建物の中で過ごすことができ、遠く離れた土地への旅行でもコンクリートアスファルトで整備された道路の上を車で走ることでお尻を傷めずに道中も楽しめるのである。

 

しかし、発展途上国の人々も先進国と同レベルの生活水準を求めるようになり、「砂」必要性が一段と激しくなった。

というのも、急激な都市開発により、「砂」が大量に必要になっているからである。

 

建物の建設用だけではない。

今日では、世界中の人間と仕事をする上でインターネットが不可欠であり、その恩恵を受けるためにはスマートフォンタブレット、パソコンが必要である。

 

私は以前、ニュースで中国が海底から「砂」を大量に浚渫しているという記事を読み、当時は理由がわからなかったが本書を読み終わった後には納得がいった。

 

 

[「砂」を制する者は世界を制する]のである。

 

 

これに各国はいち早く気づき動き出したのである。

だからといって誰もが、我先にと「砂」を採掘していいわけじゃない。

 

つい1週間ほど前にイギリスのダックリントン湖で13歳の少女が亡くなっている。この女の子は妹の頭を水面に持ち上げて助ける一方で、自らが犠牲となった。

 

事件現場となったこの湖は、1980年代中頃に市の道路を作るために砂利や石が採取されて、その後、人工湖として生まれ変わっていた。

 

このように私たち人間が「砂」を過剰に採掘することで自然環境が悪化している。

近年、台風などの勢力が年々強くなっているのも「砂」の減少が一因だとも言われている。

 

本書は、「砂」が私たち人間の歴史、そして、これからどのように付き合っていくかを教えてくれている。

 

是非一読してほしい。

 

 

 

 

 

2冊目 「海の歴史」 ジャック・アタリ

     「海の歴史」 ジャック・アタリ

 

 

概要

前半は海の歴史について。

これまでの世界の歴史の中でいかに「海」という場所が重要であったかを述べている。著者がフランス出身であり、フランスが世界の歴史の中でなぜイギリスやアメリカに甘んじて世界の覇権を取ることができなかったのかをフランスという国の海への見方の甘さから論じている。

 

後半は「海」の重要性について。

私たちの生活と海の関わり。人間の活動による海の汚染。海の環境を保全させるための施策。未来の海の重要性。これらに焦点を当ててジャック・アタリ氏は現在の人間の海に対する傍若無人な振る舞いを非難している。

 

感想

家の近くに「海」があり、そこでよく本を読んでいる私からすれば、「海」という場所は人一倍私にとって身近であり、そこでいつも見ている現在の景色が10年後では見れなくなるかもしれないと考えると他人事ではないと思う。

 

人間だけでなく全ての生き物の先祖は海から派生しており、万物の母のような存在である「海」を子である我々人間が傷つけるのはどこか間違っている気がしてならない。

 

私たちが今、「海」に対して行っている行為の数々、そして、これからの人類が「海」という素晴らしい環境を永遠のモノにするためにしなければならないこと。それに気づかせてくれるのがこの本ではないか。

 

前半部分は歴史の話が長く続くので地理や歴史が苦手な方は前半部分を飛ばして、後半部分の現代にフォーカスをしている文章を読むのが良いかもしれない。

 

雑談

「海」というものは、魚介類という私たちの食生活になくてはならないものを提供してくれるだけでなく、砂浜やサーフィン、ダイビングといった日々の生活に潤いを与えてくれる娯楽の時間をも提供してくれる。

 

表紙が青色で海の波を表すようにうねうねざらざらしてて美しい!!

栄えある1冊目 「高校事変 Ⅺ」 松岡圭祐

   「高校事変 Ⅺ」 松岡圭祐 著

 

 

本の概要

高校事変シリーズの第11巻目。犯罪氏に残る凶悪な半グレ連合のリーダーを父に持つ優莉結衣が持ち前の知識と状況への対応力を駆使して、結衣に降りかかる火の粉を払い除けてゆく。本作品は、舞台が日本に戻り、結衣の兄であり、優莉家長男の優莉架祷斗(かいと)に狙いを定めて動き出す。

 

本の感想

この「高校事変」シリーズは、作品出版時に世の中で話題になっているニュースや出来事も名前や形を変えて登場しており、本作品でも現在、日本の総理大臣をしてお仕事をされているあの「令和おじさん」をモチーフにしたであろう登場人物が描かれており、なかなか痛快である。

 

また、本作品には著者の他作品である「探偵の探偵」の主人公である「紗崎玲奈」も登場する。MARVELの「Avengers」のように作品を超えて様々な人物が登場する物語が大好物な私としては胸がワクワクした。

 

雑談

万能鑑定士Q」シリーズや「水鏡推理」シリーズなど松岡圭祐さんの他の著作を読んで感じたことだが物語の後半に行くほど、急速に物語が展開し、一日で読んでしまうのが常である。

 

今日から一週間で「高校事変」シリーズを読み返してみようかな~

 

どのシリーズの主人公も全員魅力的すぎる!!

 

ひたすら本を紹介するブログ

 

このブログでは私が、「これまでに・これから読む本」を紹介していこうと思います。

 

「本」とは、

文庫本であれ、学術書であれ、漫画であれ、著者が長い年月をかけて執筆・創作したものであり、私たちは著者が生み出した「本」の中身を数時間で体験することができます。

 

私自身、「本」の中で味わえる非日常が本当に楽しくて、時間があれば読書、隙あらば読書をしています。

日頃から、インターネットで紹介されている本や書籍の末尾に記載されている参考図書など新しい本を探しており、新しい「本」を探すこともすごく大好きです。

 

このブログを読んでいる読者の「本」選びの一因になれるように投稿していこうと思います。